Research
研究テーマ
巨大誘電率の発現機構解明と材料設計
近年、巨大な比誘電率(>103)を示す材料が報告され、局所的な複合欠陥構造の制御によるバルク結晶の誘電率の本質的向上が可能であることが示唆されています。本研究では、複合欠陥を含む誘電体材料に着目し、その局所的な特異構造と誘電特性の相関を系統的な計算によって理解し、データベース化することにより、新規誘電体材料を発見するための手法を構築しています。
- Y. Shimano, A. Kutana, R. Asahi, Scientific Reports 13, 22236 (2023).
- A. Kutana, Y. Shimano, R. Asahi, Scientific Reports 13, 3761 (2023).
機械学習ポテンシャル分子動力学を用いたa-Si:H/c-Si界面の詳細解析
結晶シリコン(c-Si)上にa-Si:HをパッシベーションしたSHJコンタクトは、太陽電池モジュールの変換効率を向上させるための手段として利用されています。しかしながら、a-Si:H/c-Si界面では、非結合状態、酸化、再結晶化等、様々なミクロスコピックな状態が存在し、太陽電池の性能に影響を与えています。本研究では、機械学習ポテンシャルを用いて分子動力学シミュレーションを高速化し、a-Si:H/c-Si 界面の構造モデルを作成し、高温緩和における再結晶化や酸素を界面に挿入した際の影響を調べています。
- T. Semba, J. McKibbin, R. Jinnouchi, R. Asahi, J. Mater. Res. 38, 5151 (2023).
自然言語処理を用いた文献情報の自動獲得と活用
近年、深層学習に基づく自然言語処理を用いて非構造データである文献テキストから、所望の情報を構造化データとして抽出する手法の研究が進められており,MIに必要なデータベースを自動的かつ継続的に構築する技術として注目されています。本研究では,超伝導に関するオリジナルコーパス(SC-COMICS)を用いて、論文検索サイトScopusから取得した48,865 件の文献抄録に対して、材料組成。転移温度、ドーピング情報、プロセス情報などを含む自動スロット抽出を可能にしました。文献情報から転移点予測モデルの構築、材料組成に関連性の大きいプロセス情報の獲得に成功しています。
- K. Yamaguchi, R. Asahi, Y. Sasaki, Adv Eng Inf. 54, 101768 (2022).
- K. Mitsui, Y. Sasaki, R. Asahi, STAM: Methods, 2206532 (2023).
アンモニア合成触媒の材料設計
再生可能エネルギーへの期待が高まる中、アンモニアが水素キャリアの候補として期待されています。本研究では、従来の高温高圧プロセスであるハーバーボッシュより環境にやさしいアンモニア合成を可能とする触媒の開発を、実験グループと連携して行っています。
>Courtesy of P. R. Varadwaj
フッ素系電解質
フッ化物イオン電池は、リチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度をもっているためコンパクトなエネルギー貯蔵デバイスとして期待されています。また、高温や過充電状態でも安定しているため火災や爆発のリスクが低いとされています。本研究室では、新規フッ化物イオン伝導体の探索を実験と連携して行っています。
- T. Takami, C. Pattanathummasid, A. Kutana, R. Asahi, J. Phys.: Condens. Matter 35, 293002 (2023).
- C. Pattanathummasid, N. Yasufuku, R. Asahi, A. Kutana, M. Hagihara, K. Mori, T. Takami
Chemistry of Materials, 36, 5671 (2024).